ArsTraverse
関係性の宇宙を横断する可視化ツール
芸術文化の文脈を可視化し、共に編集し、未来へアーカイブする
ArsTraverse(アルストラバース)は、芸術文化に関わる研究者や学芸員の方々が、論文や書籍などの文献にある情報から、人物や作品、アイデアやコンセプトなどの 「つながり(文脈)」 を見つけ出し、それを図で分かりやすく整理したり、自身の考えを書き加えたりしながら、知識を深め、みんなで共有・議論していくための可視化アーカイブツールです。
ArsTraverseを試してみるつながりを表現する「知識グラフ」とは?
ArsTraverseでは、 「知識グラフ」 を芸術文化における調査、思考整理、そして他のユーザとの共有・共同作業の中心においています。 知識グラフは、一見複雑な情報や関係性を、 「点(ノード)」 と 「線(エッジ)」 で表現するデータのかたちです。例えば、 「作家A」 という点と 「作品X」 という点があり、その間を 「制作」 という線で結ぶことで、 「作家Aが作品Xを制作した」 という関係性を視覚的に分かりやすく表現できます。

これにより、文献に書かれている人物、作品、概念、出来事などが互いにどのように関連しているかを直感的に把握できるようになります。 物語のように文章で書かれている文脈情報を、この知識グラフとして整理することで、全体像を掴んだり、特定の関連性に着目したりすることが容易になります。

特徴
文献から知識グラフ自動構築と可視化

詳細な絞り込みや解説生成

直感的な情報編集

コミュニティでの共同編集

活用シーン
展覧会・記事の企画

文献調査や研究
デジタルアーカイブプロジェクト
開発ビジョン
なぜArsTraverseを開発するのか?
芸術作品に出会ったとき、私たちはその 「見た目」 だけでなく、作品が生まれた背景や、他の作品、作家、そして社会との関わりを知ることで、より深く理解して楽しむことができます。現代美術のように、コンセプトが重要な作品においては、特にこの 「文脈」 の理解が重要です。
この複雑な文脈を読み解き、鑑賞者や読者に分かりやすく伝える役割を担っているのが美術館や博物館のキュレーターや研究機関の研究者です。 彼らは膨大な文献を調査し、情報を編集し、展覧会や記事、論文として発表することで、特定の作家や芸術動向に新たな価値を見出しています。
しかし、その過程にはいくつかの課題があり
- 文献調査からの関係性整理に多大な労力がかかること
- 情報を効果的に可視化するには、可視化に関する専門知識と技術が必要なこと
- 芸術文化分野ではデジタル化・構造化されたデータが不足していること
などが存在しています。 現状では既存のAIツールで情報を抽出できても、その後可視化表現を自由に編集したり、企画者自身の独自の知識や見解をスムーズに反映させたりすることが難しいという点もあります。
私たちは、芸術文化の価値づけを行うための文脈がより活発に編集され、鑑賞者や読者に伝えられ、そして未来へアーカイブされていくデジタル環境が必要であると考えています。
ArsTraverseが目指すもの
ArsTraverseを通じて、文献調査から可視化編集、そして発表までのプロセスを円滑化しつつ、そこで発生するデータを適切に保存し再利用していくことで、 芸術文化における文脈の議論とアーカイブを活発化させる環境をつくりたいと考えています。
ArsTraverseの最終的なイメージは、まさに芸術文化における 「GitHub*的な双方向アーカイブ」 プラットフォームです。 文脈が活発に編集され、共有されることで、これまで見過ごされていた関係性の発見や、新たな視点からの意味づけがされていくことを目指しています。 このプロジェクトが、芸術文化そのものに新しい価値をもたらす可能性があると信じています。
* GitHubは、ソフトウェア開発のためのソースコードを共同で管理できるシステムです。